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築約百年の古民家 移築工事―その1―

あるお客様から、先祖伝来の土地建物が、道路建設のために買収され壊されることになったのだが、何とか自分が生まれ育った家を残したいと依頼を受け、京都右京区に所有されている土地に移築する計画を進めています。

その建物がある場所は、三重県の最南端の「鵜殿(うどの)」という村で、熊野川の河口左岸に位置し広さ29平方キロの“日本一小さい村”です。

鵜殿は、熊野川や熊野灘の地理的条件と、この地の土豪である鵜殿氏などによって熊野信仰や熊野水軍とも深くつながる歴史ある村です。

建物は、長らく空き家であったためかなり荒れた状態で、広い敷地も草木が茂り放題の状態でした。

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この辺りは台風のメッカであることからか、敷地のまわりに石垣が積まれています。

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今回の移築工事は、地元の建設業者さんと協働で行います。地元の業者さんが外構や付属建物など建物本体以外の部分を事前に解体整地し、ツキデ工務店が建物本体を解体します。

10日間ほど泊りがけでこちらから瓦・大工・大工手元職人が行き、移築し再利用する瓦・木材・建具等を解体し搬出します。

現場打合せに行ったこの日には、地元の業者さんが周辺の樹木を伐採し整地し、建物のみが残されていました。ここからがツキデ工務店の仕事です。

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鵜殿の熊野川対岸は、和歌山県の「新宮市」です。ここには「熊野三山(熊野本宮大社・熊野速水大社・熊野那智大社)」の一社である「熊野速水大社」があります。

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この地方の豊かな自然や風土は、早くから中央にも知られ古代数々の熊野神話が生まれ、奈良時代から平安時代にかけて、山岳修行者の舞台となり霊験あらたかな地です。

平安中期以降、いわゆる熊野行幸で熊野三山の信仰が盛んになり、その後「蟻の熊野詣」と言われるほど庶民の参詣でにぎわい、その参詣道である「熊野古道」が有名です。

そして熊野三山のその自然と文化が人類共通の財産と認められ、平成16年ユネスコの世界遺産に登録されました。

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かって交通の大動脈であった熊野川の河川敷には、江戸時代から昭和にかけて「川原家」と呼ばれる簡易な商家が軒を並べ、全盛期には二百数十軒連ねていたそうです。

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この建物は、洪水が多い熊野川において大水になると、そのつど家をたたんで高い所に引き上げ、水が引くと元の場所に立て直すことができる組立簡単な現在のプレハブの住宅の原型のような建物です。

これは川原家を再現した店です。

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新宮は、熊野速玉大社の門前町であり、熊野修験道の宿場町として発展し、さらに古くから木材・木炭を集散する経済都市でもあります。

そして新宮は、関ケ原の合戦後、浅野家によって築かれた新宮城がある城下町でもあります。

明治の廃藩置県により廃城となり、今は石垣のみが残ります。

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城から見る新宮の町と熊野川。


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自宅から鵜殿までは車で4時間程。もちろん日帰りも可能なのですがせっかく南紀まで来ているので、この日は現場から20分程の勝浦に。ここで温泉宿に泊まり夜は寿司。

勝浦と言えばマグロの水揚げが日本一のマグロの町ですが、もう一つ隣のクジラの町「太地」に近いことから新鮮なクジラがいただけます。

初めていただいたクジラの腹の部分であるウネスのにぎり。

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珍味、クジラの臓器。

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翌朝、7時から始まるマグロの競り市を見に漁港に行ったのですがこの日は残念ながら市は休みでした。

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帰り、熊野川をさかのぼり熊野本宮大社を参詣し、十津川村を通り五條市に出、自宅への路を行きました。

神が宿る熊野の山間を流れる雄大な熊野川。

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途中見かけた切り立つ岩壁から豪快に流れ落ちる滝。

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何十年ぶりかに訪れた熊野本宮大社。

世界遺産になってからか目新しい建物が増え、以前訪れた時はそうでもなかったのに多くの観光客が訪れていました。

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そして日本一広くて長い村「十津川村」に入ったのも何十年ぶり。

新しくトンネルやバイパスが整備され、7年前の台風12号の災害復興のためかあちらこちらで工事が行われていました。

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十津川村は私が学生時代、宇治の自宅から自転車で丸一日かけて来たなつかしい場所です。当時は未舗装の路もあったように記憶しています。

今回の移築工事で何度か現場に行くことになりますが、またこの道を走る機会があるかと思うと楽しみです。


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by y-tukide | 2018-02-19 13:12 | 仕事色々